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22話 バリアと結界、閉ざされた希望

Author: みみっく
last update Last Updated: 2025-11-07 06:00:13

「分かっている。この部屋には封印が施されているしな」

 ディアブロは、絶望感を感じながらも、一縷の希望を見出そうとした。だが、レイニーの次の言葉が、その希望を打ち砕く。

「はい。ざんねーん。封印なんて破って逃げるつもりでしょ? 封印は劣化してたし、キミなら強引に破れるだろうから……俺がバリアを張っておいた! さらに〜結界を頑丈に張り直したから♪」

 レイニーの言葉に、ディアブロの心は深い谷底へと沈んだ。

♢黒炎の恐怖

(俺の爪でも切り裂けないバリアか。ならば魔法なら……?)

 ディアブロは心の中で、もう一つの手段を模索し始めた。彼の思考を読み取ったかのように、レイニーがニコッと笑顔で答えた。

「魔法も物理攻撃でも破れないと思うよ?」

「なぜ我の考えが?」

 ディアブロは、レイニーの洞察力に驚愕した。

「だってさぁ〜ふつう考えるでしょ。物理攻撃がダメだったら……魔法を試すかってさぁ。ほら」

 レイニーが手を翳し、ディアブロが先ほど放ったものの五倍はあろうかという威力を持つ魔法を、宝物庫の壁に放った。轟音とともに辺りが漆黒の炎に包まれ、ディアブロの心臓は早鐘を打ち、冷や汗が背中を伝った。

「なんだと!? 黒炎だと!? 我にさえ紫色の黒炎が限度なんだぞ。こんな子供が黒炎を、あっさりと……しかも威力も格段に違うぞ。我が体調が万全でもあの威力は……出せん。人間のガキに……劣るだと!?」

 ディアブロの声は震え、目には明らかな恐怖が浮かんでいた。恐怖が押し寄せ、ディアブロは逃げるのを諦めた。彼の肩は落ち、膝が小刻みに震え始めた。

 ディアブロの心中には、何が起きているのか理解できないまま、怯えと困惑が渦巻いていた。最上位の悪魔である自分が、こんな子供に追い詰められるとは想像すらしていなかった。彼は一瞬、かつての威厳と力を取り戻すために策を巡らすが、レイニーの前では全てが無力であることを悟った。

♢不死の悪夢

「我は、これからどうなるんだ?」

 ディアブロは、心の底から不安を感じながら、弱々しい声で問いかけた。まさか最上位である悪魔の自分が、このような状況に追い込まれるとは思ってもみなかった。

「ん〜キミ、不死なんだよねー?」

 レイニーは無邪気に明るく答えたが、その言葉はディアブロの心に重くのしかかった。

「そ、そうだが……?」

 ディアブロは答えながら、冷や汗が背中を伝い始めた。

「不死って、どのくらい死なないのか知りたくない? 不死の存在って不思議だよね〜。ずっと興味あったんだぁ♪」

 レイニーの言葉に、ディアブロの心は一層の恐怖に包まれた。

(やっぱり……コイツ……おかしいぞ。死なないから不死なんだぞ!?)

 ディアブロは心の中で叫びながらも、どうすることもできなかった。

「真っ二つに切ったら、二人になるのかな? 切り刻んだら増えちゃうのかなぁ? さらにさ〜ミンチにしたらどうなるんだろ? それを灰にしたら? いろいろと試してみたくならない?」

 レイニーの目は好奇心で輝いていたが、その言葉はディアブロにとって冷酷な刃のように体に刺さってくるようだった。彼の無邪気な笑顔が、今はひどく恐ろしい。

「ならないな……。頼むから止めてくれないか……たのむ……」

 ディアブロは、必死に懇願した。彼の声には、明らかな恐怖と絶望が滲んでいた。

「だって〜約束を守らないキミが悪いんだよ。未知なる力をいろいろと教えてくれるって言ったのにさぁ〜。大した力も教えてくれないんだもんっ!」

 レイニーが頬を膨らませて文句を言ってくる。可愛らしい表情ではあるが、今はその笑顔も、愛らしい格好をした存在自体が、ディアブロにとっては恐ろしくてたまらない。

「わ、分かった。時間はあるだろ? じっくりと教えてやろう」

 ディアブロは、内心で焦りながらも、この状況から逃れるための一縷の希望を見出そうと必死だった。

「ほんと!? やったぁ〜♪」

 レイニーの無邪気な喜びの声が、ディアブロの心にさらに深い恐怖を植え付けた。明らかに自分より上位の存在であるこの少年に、一体何を教えれば良いのだ? どうすれば……? 次はないだろうな……。

 ディアブロの心中には焦りと恐怖が広がっていた。レイニーの無邪気な言葉と行動は、彼の思考を揺るがし、最上位の悪魔としての威厳を奪っていく。こんな少年に従わなければならないという現実が、ディアブロの心に深い不安を刻み込んでいた。

♢ディアブロの誤算

 昼食を終えたレイニーが宝物庫に戻ってくると、ディアブロは逃げることを諦めていたが、抵抗する意志はまだ捨てていなかった。こっそりと魔法を教えるフリをして、なんとかこの状況を打開しようと画策する。

「さぁ、続きを教えてよ!」

 レイニーは目を輝かせ、楽しげに言った。その無邪気さが、ディアブロには一層恐ろしく感じられる。

「わかった、まずは基礎からだ。精神支配の魔法について教えよう」

 ディアブロは冷静を装いながら口を開いた。内心では、どうにかしてこの子供を操る方法を模索していた。

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